お題22.うたた寝
昼食をとり、片付けを終え、何をするでもなく、ソファーに腰掛ける。
えい、と前に手を伸ばせば、地べたに座ってテレビを見る恋人の頭に届く。わしゃわしゃなでると、「うん?」と優しい笑顔がこちらを見る。
「なんでもないです」
笑うと、手を取られ、引き寄せられ、キスをされた。
触れるだけのキス。
まったりや――
恋人は前を向き、またテレビを見る。
自分は、欲望のままに体を横にする。
眠い――
恋人が、テレビを見たまま話しかけてくる。
「タマ駅長はまだ現役だったんだな」
その言葉にテレビを見れば猫が外人にマイクを向けられ逃げ出すところだった。
「タマ駅長んとこに、外人?」
「海外の、猫専門番組が取材に来たようだ」
「へぇ〜……。世界デビューやん……」
このまったりは、気持ち良すぎる――
ふぁ〜あ。と、あくびが出る。
「和歌山か。行くには少々遠いな。
「……うん」
「五管時代に、遊びに行ったりしなかったのか」
「……ないです。……神戸からやと、遠いんですよね」
あくびを噛み締め噛み締め、なんとか答える。
眠いけれど、寝たいわけじゃない。
だけど、すべきこともなく、ただなんとなくまったり時間を過ごしている今だ。このまま寝てしまってもかまわない。なんて贅沢な時間だろう。
「……白浜とか、行ってみたいけど……。案外、先端……」
「ああ、紀伊半島の」
「……ん」
眠気にまどろんでいるところへ、恋人の他愛ない言葉が振ってくる。
ああー、今、めっちゃ幸せや――
「嶋本。嶋本?」
遠くで、恋人の呼ぶ声がする。
「はい」
答えた声は、届いただろうか。
