お題32.カルチャーショック

 

「高嶺高嶺!」
 シマは、基地へ戻ってくるなり嬉しそうに手招きしてきた。
「何ですか」と聞くも「ええから、」と言って話してくれない。
 仕方なく着いていくと、外へと連れ出された。
 寒い。
 二の腕をさする。この様子に、シマは嬉しそうに「寒いやろ」と言ってきた。
 そしてやはり嬉しそうに、「見て見て」と言うと、ハー、と息を吐いた。
「あ」
 吐く息が、白い。
「な?」
 シマは再び、無邪気に息を吐いて見せた。
 自分も真似て息を吐く。

 ハーー

 白い。
「な?」
「ええ」
 沖縄の冬の気温は20度前後。息が白くなることはまずない。だから、吐く息が白くなることが、嬉しくて、楽しくて。無駄に息を吐いていたら、シマに「なんか嬉しそうやな」と見つかったのが、2年前の話。
「ほな俺、先入っとくわ。寒いし」
「え、用ってこれだけですか?」
「うん。高嶺テンション上がるの見たかっただけやし。次は霜でも見つけたら踏まんと置いといたるわ」
 シマはあれから、冬の気配を見逃すことなく教えてくれる。からかうでもなく、一緒に喜んでくれる。

 もの珍しいだけだった冬は、今では沖縄の夏と同じくらい好きな季節になった。


冬の始まり

 

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