春のある日のお話
「今日は暑いなぁ、チマ!」
「…………せやな」
「もう夏のようだ。なあ、チマ!」
「…………せやな」
この様子を少し離れた所から見ていた真田は、近くにいた高嶺に聞いた。
「三隊は、隊長副隊長そろって何をやっているんだ?」
「さあ……。ジンジンとチマのアテレコのつもりなんでしょうけど」
当のリス二匹は、日向を避けるようにして、狭い日陰にキュッと身を寄せている。
「ああ、それで大口はシマをチマと呼んでいるのか」
「シマも案外付き合い良いですね。嫌なら返事しなきゃいいのに」
嶋本は、大口の問いかけに嫌そうに答えている。
大口はと言えば、上司の様子など一切気にせず、楽しそうに会話を続ける。
「暦の上ではまだ春だがな。なあ、チマ!」
「……ほんなら、予行練習してんねんな」
「予行練習?」
「春が、夏の予行練習。梅雨来てもたら、練習できひんから」
「なるほど!! ……って、プッ」
どっからその可愛い発想が出てくるんすか〜!
ゲラゲラ笑い出した大口の尻に、ついに嶋本の蹴りが入った。
「しかし、春が夏の予行練習だなんて、よく思いつくもんだ」
基地中が笑顔に包まれた。
おわり
