ペナルティ
一日の始まりは、隊長の号令から始まる。
「2月22にに……!!」
真田はその場でペナルティの腕立て伏せを始める。
その様子に隊員たちは目を見開いた。あのロボが噛むなんて。そして、笑いをこらえきれず吹き出してしまった安堂を、嶋本は見逃さなかった。腕立て伏せをしている隊長の替わりに、副隊長である嶋本が注意する。その声は、いつも以上に厳しい。
「安堂、何笑てんねん! 腕立て!!」
真田と安藤の腕立て伏せが終了すると、仕切りなおされた。
「2月22日、当直交代を行う!」
号令後体操を済ませたら、次は容儀点検。嶋本が一人一人確認する。嶋本の目は厳しく、口は堅く結ばれている。動きは丁寧に、しかしきびきびと。そして言葉は、はきはきと。
「ヨシ!」
今日の容儀点検は、全員問題なし。
当直交代は終了した。
各々屋内へ移動する。しかし嶋本は一人、「あかん!」と叫ぶとその場に膝をついて崩れ落ちた。隊員たちが慌てて駆け寄る。真っ先に嶋本の元にたどり着いた真田が、嶋本の肩に手を置き様子を伺う。
「どうした?」
嶋本の体は、小刻みに震えている。
「大丈夫か?」
心配する真田に返ってきたのは、
「にじゅう、にににっ」
笑いを堪えるのに必死な嶋本のそんな言葉だった。その様子に周囲の隊員たちも笑い出す。
「まさか真田さんが噛むなんて思いもしませんでした」
「俺も大分こらえましたね」
「でも、安堂を注意する嶋本さんすごい怖かったから、全然ウケてないもんだと」
皆の言葉に嶋本はようやく顔を上げる。
「いや、めっちゃシュールやん! にににて!!」
ついに爆笑し出す嶋本に、真田も愉快な気分になった。真田が嶋本を笑わせられることはそうない。
「そんなに面白かったか?」
「はい」
「にじゅうににに?」
「ぶっ」
またも笑い転げる嶋本を尻目に、真田は言い放った。
「今笑っている3隊隊員はペナルティ腕立て伏せ20回。嶋本に関しては事の発端の為40回」
「え〜、嘘やん! 事の発端は隊長でしょ!!」
尚も笑う嶋本に、流石の真田も少々呆れた。
「嶋本、60回だ」
ぴしゃりと言い放つ真田に、嶋本を除く隊員全員が速やかに腕立て伏せを始めた。
嶋本はなかなか笑いが収まらず、その後も書類に日付を書くたびに吹き出し、笑いっぱなしで1日が過ぎることとなった。
(おわり)
