Q&A
「俺はいったい、嶋本のことをあとどれだけ好きになるんだろうか」
真田のその言葉に、嶋本は飲んでいたビールを勢いよく噴き出した。料理はひとしきり平らげたところなので、被害が及んだのは真田の顔面くらいだ。
「突然何を言い出すんですか! あ〜あ、ビールもったいな!」
嶋本はいたって冷静にタオルを取りにいき、タオルを真田にわたし、ダスターでテーブルを拭き始めた。ついでに皿を片付ける嶋本を最後まで見届け、真田はもう一度言った。
「嶋本のことを、どんどん好きになる」
「ありがとうございます」嶋本は頭をかきかき言った。
「どうしたんですか、突然」
「いや、ふと思っただけだ」
「ふぅん」
嶋本は再びビールに口をつけた。一口飲んで、言う。
「俺は、そんなこと思ったことありませんけど、」
眉根を寄せた真田に、嶋本は微笑む。続ける言葉をフォローに変える。
「いや、どんどん好きになるなぁ、とは。ぼんやり、思ったことありますよ。これまで好きになった人、皆に思いました。真田さんも、そうだったんじゃないですか」
「いや……。嶋本が初めてだ」
「うそ〜ん。これまで何人もの人と付き合ってきてるでしょう」
「付き合いはしたが、好きになれずに結局振られた」
「ああ、ぽいぽい。そんな感じ」
あははと笑う嶋本に、次は真田が微笑んだ。
「嶋本が、俺の初恋の人だよ」
その言葉に嶋本は真っ赤になる。
「歴代の彼女達がかわいそうや」
好きじゃなくたって。お付き合いをして、好きになる努力をしたなら、恋愛の数に入れて良さそうなものを。
「まあ、ええわ」
真田が変なところで頑固なことを知っている嶋本は、話を戻した。
「俺は、あとどれだけ真田さんを好きになるかなんて、気にした事ないけど。……真田さんが最後の人のような気はします」
「最後?」
「最後」
「そうか」
真田は満足そうにうなずいて、ビールを一口あおった。
「俺はこれから、どれだけだって嶋本のことを好きになるだろう」
(おわり)
