死んでも一緒

 

「真田さん、見て見て」
 嶋本がそう言って指差したのは、パソコンのディスプレイ。
 付き合いも長くなって、半分同棲している様な状態の今では、同じ空間にいても二人別のことをしていることが増えた。今も嶋本はパソコンに向かっていて、真田は本を読んでいた。
 真田は嶋本の声に本を閉じ、のそりと立ち上がると、後ろからディスプレイを覗き込んだ。
「ほう……綺麗なものだな」
 ディスプレイには、寄り添うように横になった二人の、白骨の写真が表示されていた。
「六千年前の白骨ですって。作りもんみたいですよね」
「……珍しく夢が無いな」
 すると嶋本は椅子ごと真田を振り返った。
「ちゃいますよぅ。そんだけ良い状態で残ってますねってことです」
 そして少し、話すスピードと声のトーンを下げる。
「考えてもみてください、六千年ですよ? 六千年の間にどれだけの自然災害や地形変動があったことか。人の手によって埋められのか知りませんけど、もともとそんなに深いところにあったわけやないはずなんです。それやのに六千年もの間、何物にも掘り起こされず、こんだけの状態で残ってたんです。奇跡やと思いません?」
「そうだな」
 でも、と嶋本は続けた。
「綺麗やと思って、奇跡やと思うのは、迷惑な話ですよね」
「どういうことだ?」
「寄り添ってるからって、俺らはこいつらが恋仲やったと勝手に判断したんです。そもそも男女かどうかもわからへんのに。もしかしたらこいつら、憎しみあってて殴り合いの喧嘩してたら相打ちで死んで、たまたまその状態のまま六千年経ったんかもしれんのですよ。それやのに、綺麗だの、永遠の愛だのと」
 嶋本は、まるで自分のことのように嫌そうな顔をして言った。真田は少し迷ったが、もう一度言った。「やはり、夢が無いな」
「ふと思っただけです。俺かて、真田さんとやったらええですよ? でももし、黒岩さんとこんな風に死んでしまったとして、どう思われるかわかったもんやないですやん。きっと体格差から勝手に親子やと思われる。俺も立派な大人やっちゅうねん! ね? 迷惑な話でしょ?」
 不服そうな顔をして、嶋本は真田を覗き込む。しかし真田は、クスリと噴き出した。
「体格差なら、俺とでも言えることじゃないのか?」
「真田さんとやったら平気ですぅ。デコくっつけて、両手しっかり繋ぐんですから」
「そうなのか?」
「そうなんです」
「じゃあ今日は、そうやって眠ろうか」
「へ??」
「その時のために、練習を」
 真田が笑顔で言う。冗談だとわかっているのに、嶋本は焦ってしまう。それもこれも、相手が真田だからだろう。
「ちょ、ちょお……、無理です」
「なぜ?」
「こっぱずかしいからに決まってますやん!」
「そうか? ……しかし、明日にも死ぬかもしれないんだぞ?」
「ええです。そん時は一緒です。やから、そん時に……」
 嶋本が照れながらそう言えば、真田はふわりと笑顔になった。

(おわれ)

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