お題12.しりとり

 

 何もすることがない休みの日は、特急電車に乗って少し遠出をする。今日の座席は、
「ここか」
 窓際だ。忘れられたのか放置されたのか、新聞が座席に残っていた。
「……今日のか」
 少しだけ読んだが、すぐにたたんだ。せっかくの遠出だ。窓の外を見る。案外すぐに、都会の町並みから山へと景色が変わった。
「……ん? あの人たち、何をしているんだ……」
 山肌で、何やら作業している人たちがいる。格好がまちまちなところを見ると、工事や建設ではなさそうだ。
「発掘か」
 何やら声をかけあって作業をしていることが見てとれる。石器のような小さいものではないのだろう。結構な大きさのようだ。
「……恐竜みたいだな」
 それにしても、豪快にスコップで掘り進めている人が気になる。
「ずいぶん荒っぽいな。……ああ、骨が折れる」
 ずっと眺めていたが、山はすっかり後方へ消えてしまった。
 切符を胸ポケットから取り出す。
「1300到着予定……」
 結構時間がある。暇つぶしの道具は何も持ってきていない。
「しりとりでもするか」
 切符を胸ポケットにしまい、考える。何から始めようか。
 せっかくの遠出だ。何か関係のあるものから始めよう。
「電車……写真部……ブリーフケース……スモモ……もも、もも……桃太郎。うなぎ屋……野心家……烏瓜……理科……。か、か、枯葉……博士……星座早見表……宇宙ステーション。……あ、だめだ」
 しかし、予想以上に、
「一人でやっても、つまらない……」
 再び窓の外に目をやる。競馬場が見える。
 ふと、頭に衝撃が走った。
「っ、」
 周りを見渡すが、不審な人はいない。
 
 それにしても。
 ずっと、誰かと一緒だった気がする。
 
 目的地は伊豆。海が見えてきた。
 再び胸ポケットから切符を取り出す。一緒に、覚えのない馬券が出てきた。
 先ほどの新聞で確認する。
「……かすりもしない。っはは!」
 なんだか愉快な気分になった。

 有、俺は、前へ進むよ。


銀河鉄道の夜のような夜のような昼 真田編

※大好きなラーメンズの、「銀河鉄道の夜のような夜」というコントをゴソッといただきました。
登場人物を真田と伊藤にしただけです。ラーメンズ好きな方、見逃してくれたらありがたいです。


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