なリス 13
なんか知らんけど、お隣さんができた。
サナダタイチョーが連れて来た。
毛色が濃くて、耳の毛が長くてふさふさで、体が俺より大っきい。
耳毛が長くてふさふさて、どこぞのコアラか!! って俺、思てたことあんねんな。
やから知ってる。俺こいつ知ってる。
「お前、エゾリスやろ?」
ケージ越しに話しかけると、エゾリスはこう言った。
「どちらかと言うと、キタリスだ」
……はい? え、もう、意味わからへん。どちらかと言うとって、どれとどれの話やねん。
「エゾリスちゃうん?」
「エゾリスと言う名で売られていたから、エゾリスで良いのだろうが。……本来はキタリスだ」
「ふぅん」
良ぅわからんから放っとこ。
……うん。
まあ、ええんちゃうかな。こいつおったら、俺一匹おらんようなっても平気やろ。問題は、こん、針金や!
ガリガリガリガリ……
全然切れへん。
ガリガリガリガリ……
「何をしている?」
「んん? こん針金食いちぎろう思って」
ガリガリガリガリ……
「なぜだ?」
「なんでってそりゃあ、
ガリガリガリガリ……
「なぜだ?」
いやいやいや、今言うたやん。
「いや、やから、こっから出てきたいねん」
向き直って言ってやれば、エゾリスだかキタリスだかは、言葉を増やした。
「……なぜ、ここから出ようと思うんだ?」
最初っからそう言えや。てか、俺様の作業が全然進まへんやんか!
でも俺、初対面の奴にそんな物言いしたあかんってわかってるから、耐える。えらいやろ。
……しっかし、何て言えばええんかな。あ、これでええかな。
ちょお、邪魔せんでもらえます?
うん、これで良えやろ! よっしゃ!
「ちょ「せっかく会えたのに、なぜ出て行くなんて言うんだ?」
おま、人の話聞けや。……て言うか、は?
ぅぇええ??
もう、え? 何??
「そんな寂しい事を言うな」
えええええええええ????
てか、何? なんか、動かれへんのやけど。何?
あ、これあれや。サナダタイチョーと目ぇあってなんや動かれへんかったのと同じや。
頑張れ俺。
俺頑張れ。
「そんなん、」
そんなん、言われたかて、知らへんし。
「そんなん、」
俺にはどうでもええし。
「……。ほんなら」
ちょお、待て俺! 何を口走る気やこの口は!
「ほんなら、一緒に、」
一緒にて何や、俺!
「一緒に、
って、ちゃうやろ、俺! ああああ、もうええわ、面倒臭い!
「〜〜〜〜〜〜〜〜なんて言うと思たら大間違いやで、こらー!!!」
おっしゃ、言えた!
言ったった!
流石俺様! やれば出来るや〜ん。
なんてこっそり喜……、ほくそ笑んでたら、エゾリスだかキタリスだかが、フッと笑った。
「では、俺がそちらへ行こう」
ほんで、イラッとするくらい格好良え表情で、そんなことを言いやがった。
お前に来れたら、俺はとっとと出てってるっちゅーねん!!
