なリス 19
なんや、ジンジンにまじまじ見られとると思ったら。
「チマ、お前、綺麗になったな」
は?
びっくりしてひまわりの種の殻剥くの中断してもた。俺としたことが。
うん。
多分気のせいやわ。
だって、意味わかれへんもん。
さぁて、ひまわりの種や。
カリカリカリカリカリ……
カリカリカリカリカリ……
……。
ジンジンにじり寄って来とん、気のせいやんな。
カリカリカリカリカリ……
なんかうろちょろうろちょろしとんの、気のせいやんな。
カリカリカリカリ……
なんかめっちゃ正面から覗き込まれとる気ぃするけど、気のせいやんな。
カリカリカリ……!!
「なんやねん! 返せや、種! まだ途中やねんぞ!」
「チマ、やっぱりお前、綺麗になった」
「は?」
綺麗って……。
聞き間違いちゃうかったんか。
「綺麗になった。……毛並みが」
「って、毛並みかいな!!」
ってちゃうやん。今の突っ込みやと綺麗って言われたのが毛並みである事が期待はずれやったみたいやんか。
「と、ちゃうわー!!」
一ッコのボケに二度ツッコマすな!
「なんやねん、改めて。成長したら毛並みなんぞ勝手に綺麗になるやんか」
「そうなのか?」
「ジンジンもそうやったやろ?」
「いや……。特に意識してないから知らない」
「……ええわ」
次や。
でかいの。でっかい種。コレにしよ。
カリ……
「ほら」
ジンジンがさっきの種を差し出してきた。
「ああ?」
俺もう新しいのんに着手してんねんけど。
「返せと言っただろう」
「それひっくるめてもうええねん!」
ないわ! ありえへん!! 種くらい静かに剥かせろ!!
「……チマ?」
「…………」
「チマ?」
「もごもごもご」
「殻剥かずに詰めるなんてめずらしいな。もう頬袋ぱんぱんだぞ」
「もごもごもごもご!!」
あ、全然喋られへんかった。まあええわ。
俺は部屋で殻剥くことにしてん!
賢いやろ?
ほなな!
で。
引き篭もって一個目の剥いた殻捨てるのにちょびっと顔出したら、ジンジン下から見上げとった。
……。
さっきの種、持ったままやん。
……。
全然動いてへんのか。
……。
何その情けない顔。
……。
んで、何この気持ち。
……。
……。
何やねん! 俺が悪者みたいやんか! 俺何もしてへんで! 俺が罪悪感抱く必要無いねん!!
……。
殻剥く気も失せるわ。
ちょお、きゅーけー!
