なリス 20

 

 なんやねん。
 胸糞悪いわ。
 いや、でも、俺は謝らへんで!!
 いや、どっちも謝らなあかんようなことしてへんねん。
 ……。
 どれくらい時間経ったんやろ。ジンジン動いた気配ないけど、まだ動いてへんのかな。
 そろりと下を見てみると、ジンジンはその場に留まったまま、でも、顔は下向けとった。
 寂しそうな背中。
 ……何? それは俺のせいなん? ねぇ、俺のせいなん? 俺なんかしたか?? してへんやろ。
 何なん? イライラするわ。
 ……。あかん。寝よ。

――…………ま
――……ちま
――チマ。

「ぅあ?」
 のそりと外に顔を出すと、ぼやけた視界にジンジンがおった。
「ああ、すまない。寝ていたのか」
 なんや、めっちゃ申し訳なさそうな顔。
 ……!!
 せや。なんやようわからんけど気まずくなっとんやった。
「いや、ええけど……」
 そう言うと、ジンジンは少しほっとした様子で。なんやねん、やっぱり俺は悪者か!? って思ったけど違た。
「なんだかよくわからないけど、ゴメン」
 せや。それで良……くないわ、ボケェ!!
「なんでようわからんのに謝るねん!」
「……ごめん」
 ジンジンはめっちゃしょんぼりして、剥きかけのままのひまわりの種をぎゅっと握って。せっかくの耳毛が垂れて尻尾もぺったり下についとる。
 はぁ〜。
「ちゃうやん」
「……」
「ジンジン何か謝らなあかんことしたか?」
「……」
「な? 別に謝らなあかんことはしてへんねん。ジンジンも、俺も」
 だけどジンジンはなっさけない顔のまま。
 誰かこいつをどないかしてくれ。
「謝らねばならないようなことはしていない。だけど、謝らなきゃいけない気がしたんだ」
 ああ、だからしょんぼりしてんのか、こいつは。
「ほんなら俺も、ごめん」
 言うと、ジンジンはキョトンとした。
「チマは何かしたのか?」
「してへん」
「なら謝ることはない」
「でも、罪悪感あんねんもん」
「罪悪感……」
「おんなじや、ジンジンが謝らなかん気がしてんのと」
「ふむ……」
「やからこれで、仲直りや!」
「仲直り? 喧嘩してたわけじゃないのに?」
「ほな何て言うん?」
「……」
「ええねん、仲直りで。ほれ!」
 言うて手を差し出す。
「ん?」
「そん種! 剥いたる言うてんねん!」

 するとジンジンは、嬉しそうに、でもそっと種を差し出してきた。


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