なリス 25

 

「ちょお、俺一匹にしてくれるか?」
 なぜならば一大事やから。
 ジンジンは大人しく、ちゅうより、嬉しそうに、自分の部屋に引っ込んでくれた。
 俺も、自分の部屋に引っ込んだ。

 よし。
 ほんなら、考える時間ですよ、俺。

 えーっと、まず、整理しよか。

 Q、一大事です。何が?
 A、俺、ジンジン好きらしいで。
 
 Q、なんで一大事なん?
 A、どーも俺、ジンジンを好きらしいねん。

 ……んん??

 Q、ジンジンを好きやと、何で一大事なん?
 A、……?

 これは何か一大事なん??

 ……ああ、考えるスタート地点を間違えたんやわ!
 こうやな。

 Q、ジンジンが俺を好きらしいですよ、俺。
 A、そのようですね。

 ……。
 あかん! これも間違いや!! 一大事はそれやない。

 え、何を考えたらいいん?
 俺は、何を一大事としてるん?

 んん〜……。

 そもそも。
 生まれた時から一匹ぽっちの俺や。ペットショップにおった頃から、なんとなく外に出たくて、ニンゲンは敵でしかなくて。飯は食わせてもろたけど、それだけで。ニンゲンから何かを教えてもろたり、してへん。俺の知識なんて、ほとんどジンジンの知識や。
 それやのに、一匹で考え事て、無理やろ!

 ……うん。行き着く先はここで合うとるはず。

 ジンジンに確かめる!
「ジンジン!」
 …… 

 あれ? おらへん。

 部屋、丸ごとなくなっとるやん。
 どこいったん?
「ジンジン! どこー?」
 てか、え? 部屋ごとて、え??
 !!
 ニンゲン、きさまらか!! 反復横とびの刑や! うるさいやろ!
 ガッシャンガッシャンガッシャンガッシャン……
 ジンジン出せや! どうせお前らの仕業やろ!!
 ガッシャンガッシャンガッシャンガッシャン……
 ジンジンが出てくはずないねん! だってジンジン、俺ん事大好きやねんから!!
 ガッシャンガッシャンガッシャンガッシャン……
 出せや! ジンジンおらんかったら、俺……

 俺、寂しいやんか……。

 しょんぼりやわ。
 ……ジンジン、俺しょんぼりさせる天才やなぁ。

 ……ん?
 ちょ、シ! シー! 静かに!!
 ……。
 やっぱり聞こえる。ジンジン、泣いとる。

 嫌や。
 ジンジンが泣いとったら、俺、嫌や。
 悲しい。寂しい。痛い。苦しい。
 セツナイ――切ない。

 ――恋しい

 すきや。

 好きや。

 好きや!

 俺も好きやから、やから、一匹で泣くな!

 ……その声で、俺を苦しめるな。
 ずるい。
 俺、泣き方わかれへんから、この気持ちを伝えることもできひんのに。
 お前の気持ちが伝わってる事も、伝えられへんのに。
 俺やって、お前んこと好きやのに。今、伝えなあかんのに。
 どうしたらいい?
 何もできひん。
 俺、お前に、何もしてやれへん!
 
 好きや!
 ジンジン、俺、お前が、大好きやねん!!
 なんでこういうときに限ってそばにおれへんねん!!
 会いたい! 好きや!

 くそ!! めっちゃ好きや!!

 …………。

 俺一匹の力ではニンゲン様に敵えへんこと、嫌という程実証済みなので、ひとまず途方に暮れます。

  あーあ。

 

 

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